おかみの実家が以前菓子屋で、その菓子屋の人気商品のきなこ餅が「ものぐさ太郎」でした。
ものぐさ太郎は信州の民話です。
ものぐさ太郎
むかし、筑摩の郡(こおり)新しの里(松本市新村)に、ものぐさ太郎という男が住んでいました。
ものぐさ太郎は、いつも、みちばたにねそべっているようなぶしょうものでした。
しかし太郎は、あたりの景色を見ながら、和歌(うた)の想をねっていたのですが村人たちは、「ものぐさ太郎」といって、あいてにしませんでした。
ある日、ここを通りかかった地頭が、目の前に落ちているだんごも拾わずに集まるからすを棒でおいはらっている太郎をみてこいつはなかなかおおものだと、めしや酒をさしだすことになったのです。
そのころ、信濃の国主が京にのぼられる事になりました。その屋敷で働くながふが新しの里にわりあてられました。
こまった村人たちは、太郎に頼みました。
「太郎やい、京にはりっぱな和歌読みがいっぱいいるぞ。」
すると、どうでしょう!
今までねそべってばかりいた太郎が、すっくとたちあがり、「よし、おれは行く!」といって京へのぼったのです。
それからの太郎はながふの仕事のかたわら、和歌の道の修行に励みついに天皇(みかど)におほめのことばをたまわるほどになったのです。
信濃の国主にとりたてられた太郎は、京から連れてきた妻と百二十歳まで幸せにくらしたとさ・・・
というわけで、「ものぐさ」という意味は、悪い意味だけではなく「無駄に動かなくてよい。いざというときに立ち上がればいい」といった深い意味があるのです。
「出世」「長生き」といった意味も、ものぐさ太郎のお話には込められています。
「そば処ものぐさ」は、ものぐさ太郎にあやかりたいと思っています。